【肩】肩関節窩骨折分類法~Ideberg分類~(Ideberg R,et al.Acta Orthop Scand. 1995)

治療戦略

TypeⅠ
関節鏡下での骨接合術(側臥位)
Bankart損傷の修復術に基づいた方法でOK
アンカーを用いたDaff法での加療が多い
※骨片が関節窩面積25%以下,不安定性なし,骨片10mm以下なら保存療法も可(骨折・脱臼 第4版)
※TypeⅠaなら保存も多い

TypeⅡ,Ⅲ
関節鏡下での骨接合術(ビーチチェア位)
骨片大きい為スクリューでの固定が基本

TypeⅣ以降
直視下での骨接合術
適宜プレート使用も考慮する

引用文献&画像引用↓

Ideberg R, Grevsten S, Larsson S. Epidemiology of scapular fractures. Incidence and classification of 338 fractures. Acta Orthop Scand. 1995 Oct;66(5):395-7. doi: 10.3109/17453679508995571. PMID: 7484114.

平野 哲也ら DAFF 法にて鏡視下骨接合術を行った肩甲骨関節窩骨折の治療経験 Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal 18:102-106,2013

【脊椎】頚椎症性筋萎縮症(CSA)

追記

●ALSとの鑑別法

①僧帽筋に着目

→副神経支配 (C3~5から発生し一旦上行して迷走神経や舌咽神経と同じ孔からでるので前角・前根障害になっても影響なし)

②筋力低下の形式

・ALSはびまん性。区別がつかない。

 CSAは髄節性。明確に分かる。(例:三角筋が選択的に萎縮)

●近位型(Keegan型)

三角筋萎縮が上腕二頭筋萎縮より著明

→よって三角筋に着目する

回外筋も萎縮される(C6)

肩腱板断裂との鑑別は回外筋や上腕二頭筋を見る

→腱板断裂ならこれらの筋は障害されない

●遠位型

下垂指が特徴→後骨間神経麻痺との鑑別が大変

どちらも感覚障害を来さない下垂手

(引用http://igakukotohajime.com/2020/09/21/%E6%A9%88%E9%AA%A8%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E9%BA%BB%E7%97%BA-radial-nerve-palsy/)

以下で見極める(当てはまればCSA)

Ⅰ.肩甲間部あるいは肩甲骨部の痛みで発症しその後に下垂指をきたす。

Ⅱ.Spurling testで項肩甲骨の痛み、あるは頚椎運動制限がみられる

Ⅲ.上腕三頭筋に筋力低下が見られる

Ⅳ.手の内在筋 第1背側骨間筋、小指外転筋、母指内転筋(いずれも尺骨神経支配)に筋力低下があり

Ⅴ上腕三頭筋反射の低下

【膝】膝蓋骨高位の評価法

①Insall-Salvati法

膝蓋骨全長と膝蓋腱長との比

正常値:0.8~1.2

②Caton-Deshamps法

膝蓋大腿(PF)関節面長とPF関節面遠位端-脛骨前面近位端長との比

正常値:0.6~1.3

※HTO後や膝蓋腱脱臼に対する脛骨粗面移行術後の評価は②を使用する

①は骨切り位置の関係上術前後変化せず

【海外文献】THA脱臼率 骨頭径32mmvs36mm→大差なし

●対象
大腿骨近位部骨折に対してTHA行われた5030人
(各群2515人)
●結果
◯36mm再置換率(32mm基準)
・脱臼による再置換:0.8倍
・総再置換率:0.9倍
※ハザード比からは有意差なし
・7年生存率
32mm群92.8%
36mm群93.7%

Tsikandylakis G, Kärrholm JN, Hallan G, Furnes O, Eskelinen A, Mäkelä K, Pedersen AB, Overgaard S, Mohaddes M. Is there a reduction in risk of revision when 36-mm heads instead of 32 mm are used in total hip arthroplasty for patients with proximal femur fractures? Acta Orthop. 2020 Aug;91(4):401-407. doi: 10.1080/17453674.2020.1752559. Epub 2020 Apr 14. PMID: 32285736; PMCID: PMC8023875.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32285736/

●考察
・28mm×32mmなら32mmが脱臼少ない
Kostensalo I,et al.Acta Orthop 2013
・カップ径が大きくなると36mm骨頭はライナーの強度上使えない
●私見
脱臼率は展開法が大きな要因である(JBJSの大規模調査でも証明済)
Hoskins W,et al. Early Rate of Revision of Total Hip Arthroplasty Related to Surgical Approach: An Analysis of 122,345 Primary Total Hip Arthroplasties. J Bone Joint Surg Am. 2020 Nov 4;102(21):1874-1882.

特に頚部骨折する高齢者には後方展開THA控えた方が良い?