【脊椎】硬膜内髄外腫瘍

実臨床では髄膜腫と神経鞘腫の鑑別をつけるのが大事(私見)
以下髄膜腫と神経鞘腫の鑑別
●共通項
①MRI
T1強調で低~等 T2強調で等~高信号
②手術適応
症状を有した時(おおよそ下肢痛や感覚障害、筋力低下等)
③良性腫瘍
ガンの様に他の部位に転移はしない


↑このような人工硬膜を摘出後用いる

神経根だと末梢神経に相当するので下図が当てはまる

いわゆる砂時計腫(ダンベル腫瘍)

おまけ
私が用いている髄膜腫・神経鞘腫鑑別フローチャート

【脊髄】慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)

※厳密には神経内科領域の疾患だが、腰部脊柱管狭窄症と鑑別を要する事もあるので脊椎枠に

●鑑別
ギラン・バレー症候群
・類似点
末梢神経が自己免疫により侵される
(厳密にいうとCIDPは自己免疫かどうかは仮説レベル)

運動神経が侵されやすい

・相違点
ギラン・バレー症候群は一過性
CIDPは寛解と再燃を繰り返す

ギラン・バレー症候群は呼吸筋や脳神経に障害生じることもある
CIDPは稀

●整形外科領域で気をつける事
脊柱管外の神経根や神経叢がMRIで腫大+四肢しびれ・運動障害あればCIDPも考慮
神経内科に相談すること

↓他追記項目
●疫学
2-5/10万人

●症状
箸が持てない、腕が上がりにくい等
疼痛は伴わない事多い

●予後追記
3種類の治療法のいづれかは効果あること多く予後良好ではあるが
神経根腫大は非可逆的で戻らない

●医療補助について
CIDPは指定難病に該当し、医療費助成対象疾病に含まれる為申請忘れずに



↓参考サイト
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4089#:~:text=%E6%85%A2%E6%80%A7%E7%82%8E%E7%97%87%E6%80%A7%E8%84%B1%E9%AB%84%E6%80%A7%E5%A4%9A%E7%99%BA%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%82%8E%EF%BC%88chronic,%E7%96%BE%E6%82%A3%EF%BC%88%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%82%8E%EF%BC%89%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

https://radiopaedia.org/articles/chronic-inflammatory-demyelinating-polyneuropathy

【肘】小児肘関節脱臼・骨折レントゲン評価

●追記
①Fat pad sign→通常骨にくっついている脂肪組織が血腫等で剥がれてしまうこと
撓骨頭骨折・上腕骨顆上骨折の場合は骨折線が必ずしもみられるわけではない。Posterior fat padは骨折や炎症で液体貯留が起こり,骨に付着している脂肪層がはがれて初めて確認できる。
Anterior fat padは通常でも確認できるので後方を評価したほうがいいかも
参考サイトhttps://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2011/PA02936_06

●小児肘関節Xp見る時の重要知識→軟骨骨化順を覚える
CRITOE(クリトエ)で覚える。2xー1歳で骨化する。
Capitellum→上腕骨小頭(1歳)
Radial head→橈骨頭(3歳)
Internal Epicondyle→上腕骨内側上顆(5歳)
Trochlea→上腕骨滑車(7歳)
Olecranon→肘頭(9歳)
External Epicondyle→上腕骨外側上顆(11歳)

【スポーツ】肉離れ

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●損傷度に応じた戦略(上級医の指導内容)
0:初診時
まずMRI取ってみること
エコーで中間筋膜に出血あれば膝屈曲維持で過ごしたほうがよい
→血腫溜まったら可動域制限生じる事あるため
ストレッチで疼痛誘発されるか?
→あればⅠ度 なければⅡ度(JOA 2020 教育研修講演 肉離れの治療戦略】

1:受傷後
JISS 1度:2週は競技休む 疼痛に応じて復帰可
JISS 2度: 6週は競技休む
JISS3度:腱完全断裂あれば縫合再建術も?? 復帰は数ヵ月 MRIみて腱膜修復度で判断

※基本MRIを初診1ヵ月後取って再評価する

2:平均競技復帰期間
1度2週
2度:6週
3度:20週

参考文献
奥脇 透ら,大腿二頭筋肉ばなれの MRI 分類
日本臨床スポーツ医学会誌:Vol. 27 No. 2, 2019.

【膝】人工膝関節再置換術術前計画

●補足
①大腿骨骨欠損に対する対応法
※初回手術の緩みや抜去時に骨欠損生じやすい

様々な金属補填材があるので対応できることが多いのでまず考慮
ギリギリの場合は同種骨や同種骨移植部を覆う金属製メッシュも考慮

◎欠損
<5mmセメント対応
5〜10mm<金属ブロック補填
10mm< 髄内はコーンで補填 骨欠損部は同種骨移植で対応考慮

②Joint lineを再現しないとだめな理由
→前後不安定性が生じるため
以下論文ではjoint lineを4mm上げた場合PF関節圧も屈曲90度時に著明に上がったと言及
なお2mm程度なら許容できる模様
Watanabe M, Kuriyama S, Nakamura S, Nishitani K, Tanaka Y, Sekiguchi K, Ito H, Matsuda S. Impact of intraoperative adjustment method for increased flexion gap on knee kinematics after posterior cruciate ligament-sacrificing total knee arthroplasty. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2019 Mar;63:85-94. doi: 10.1016/j.clinbiomech.2019.02.018. Epub 2019 Feb 27. PMID: 30851566.

【肩】肩関節窩骨折分類法~Ideberg分類~(Ideberg R,et al.Acta Orthop Scand. 1995)

治療戦略

TypeⅠ
関節鏡下での骨接合術(側臥位)
Bankart損傷の修復術に基づいた方法でOK
アンカーを用いたDaff法での加療が多い
※骨片が関節窩面積25%以下,不安定性なし,骨片10mm以下なら保存療法も可(骨折・脱臼 第4版)
※TypeⅠaなら保存も多い

TypeⅡ,Ⅲ
関節鏡下での骨接合術(ビーチチェア位)
骨片大きい為スクリューでの固定が基本

TypeⅣ以降
直視下での骨接合術
適宜プレート使用も考慮する

引用文献&画像引用↓

Ideberg R, Grevsten S, Larsson S. Epidemiology of scapular fractures. Incidence and classification of 338 fractures. Acta Orthop Scand. 1995 Oct;66(5):395-7. doi: 10.3109/17453679508995571. PMID: 7484114.

平野 哲也ら DAFF 法にて鏡視下骨接合術を行った肩甲骨関節窩骨折の治療経験 Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal 18:102-106,2013

【脊椎】頚椎症性筋萎縮症(CSA)

追記

●ALSとの鑑別法

①僧帽筋に着目

→副神経支配 (C3~5から発生し一旦上行して迷走神経や舌咽神経と同じ孔からでるので前角・前根障害になっても影響なし)

②筋力低下の形式

・ALSはびまん性。区別がつかない。

 CSAは髄節性。明確に分かる。(例:三角筋が選択的に萎縮)

●近位型(Keegan型)

三角筋萎縮が上腕二頭筋萎縮より著明

→よって三角筋に着目する

回外筋も萎縮される(C6)

肩腱板断裂との鑑別は回外筋や上腕二頭筋を見る

→腱板断裂ならこれらの筋は障害されない

●遠位型

下垂指が特徴→後骨間神経麻痺との鑑別が大変

どちらも感覚障害を来さない下垂手

(引用http://igakukotohajime.com/2020/09/21/%E6%A9%88%E9%AA%A8%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E9%BA%BB%E7%97%BA-radial-nerve-palsy/)

以下で見極める(当てはまればCSA)

Ⅰ.肩甲間部あるいは肩甲骨部の痛みで発症しその後に下垂指をきたす。

Ⅱ.Spurling testで項肩甲骨の痛み、あるは頚椎運動制限がみられる

Ⅲ.上腕三頭筋に筋力低下が見られる

Ⅳ.手の内在筋 第1背側骨間筋、小指外転筋、母指内転筋(いずれも尺骨神経支配)に筋力低下があり

Ⅴ上腕三頭筋反射の低下

【膝】膝蓋骨高位の評価法

①Insall-Salvati法

膝蓋骨全長と膝蓋腱長との比

正常値:0.8~1.2

②Caton-Deshamps法

膝蓋大腿(PF)関節面長とPF関節面遠位端-脛骨前面近位端長との比

正常値:0.6~1.3

※HTO後や膝蓋腱脱臼に対する脛骨粗面移行術後の評価は②を使用する

①は骨切り位置の関係上術前後変化せず